新しい年が始まりました。
年が変わると、
「今年は、どんな一年にしたいですか?」
そんな問いを向けられることが増えます。
けれど、ぼく自身は、
何かを大きく変えようとか、
新しいことを打ち出そうとか、
そういう気持ちで新年を迎えているわけではありません。
今年も変わらず、
こどもを、まんなかに考えていく。
その一点を、丁寧に積み重ねていくだけです。
先日の運動会で、
予定していなかった一場面が生まれました。
職員ダンスが終わり、
会場に少し余韻が残っていた時間。
副園長が、こどもたちのいる方へ駆け寄り、
そこに、こどもたちが大好きなあの曲が流れました。
すると、こどもたちは、
迷いなく体を動かし始めました。
笑顔で、大人を見て、まわりを見て。
「一緒にやろう」と言葉にしなくても伝わる空気の中で。
あとから、いろいろな声が届きました。
考えさせられる意見も、正直ありました。
それらは、主にSNS上でのものでした。
けれど、ぼく自身がその場面を見て考えていたのは、
賛否の行方や、世の中の流れではありません。
こどもの最善の利益とは、何だろう。
あの瞬間、
それだけを考えていました。
流行っているかどうか。
政治的にどうか。
社会的にどう見えるか。
そうした視点は、
大人が世界を理解するためには必要ですが、
こどもをまんなかに置く判断とは、
少し距離があるように感じています。
こどもがまんなか、とは何か。
それは、
こどもの目が、自然と輝くもの。
「やってみたい」「一緒にいたい」
その気持ちが、内側から立ち上がることだと思っています。
もちろん、
何でもかんでも許されるわけではありません。
善悪のフィルターはありますし、
命を守るために止めるべき場面もあります。
ただ、
大人の都合や、大人の安心のために、
こどもの選択を先回りして決めてしまうことは、
できるだけ避けたいと考えています。
ともだち関係も、同じです。
「この子と遊びなさい」
「この子はダメよ」
そう言われて、
こどもが「なるほど」と納得することは、
ほとんどありません。
こどもが思うのは、
「なんで?」
それだけです。
遊びたい子と遊び、
嫌だと感じたら距離を取る。
その選択を重ねながら、
関係のつくり方を学んでいく。
それは、
こども自身が選び、経験していくものです。
保育士の関わりは、
家庭の価値観とも、
世の中の評価軸とも、
少し違うところにあります。
こどもにとって、
それが善か悪か。
命や安全に関わることか。
そこを見極めることが、
こどもの育ちに向き合う専門性だと考えています。
少し補足すると、
あのダンスは、完全な思いつきではありません。
副園長は、日々の保育の中で、
自由時間にふと踊ってみたり、
保育室に入って、サプライズで流してみたりしながら、
こどもたちとの関わりを、少しずつ重ねてきました。
そこにあったのは、
ダンスそのものへのこだわりではなく、
こどもとの関係が生まれていく時間です。
だから、発表会当日。
こどもたちにとって、あの場面は
「初めて」ではあっても、
まったく知らないものではなかった。
「知っている」
「楽しい」
「やってみたい」
その気持ちが、
自然と体を動かしたのだと思います。
副園長は、その反応を見て、
「今、いける」と判断しました。
それは、
偶然のアドリブではなく、
日常を丁寧に積み重ねてきた人にしかできない判断でした。
また、ふじおか幼稚園では、
毎年、職員ダンスを行っています。
ありがたいことに、
「今年は何をやるんですか?」と声をかけてもらったり、
終わったあとに
「勇気をもらいました」
そんな言葉をいただくこともあります。
それは、
上手に踊れているからでも、
完成度が高いからでもないと思っています。
大人が本気で楽しみ、
照れずに体を動かし、
その姿を、こどもたちと一緒に笑い合っているから。
今年のあの場面は、
職員ダンスの延長であり、
日常の関わりの延長でもありました。
大人が楽しむ姿を見て、
こどもが応える。
こどもが動いたから、
大人が一歩、踏み出す。
その往復の中に、
ふじおか幼稚園が大切にしてきた
関係性のかたちが、
はっきりと表れていたように思います。
行事は、
見せるためのものではなく、
こどもの経験の延長にあります。
予定どおりに進めることよりも、
その場で何が起きているかを感じ取り、
「今、この子にとって何が必要か」を考える。
ぼくたちが大切にしているのは、
こどもの最善の利益です。
説明しやすいかどうかより、
評価されやすいかどうかより、
その瞬間の育ちを、まんなかに置くこと。
あの日の判断は、
ふじおか幼稚園の保育の縮図でした。
誰かを否定するためでも、
何かを主張するためでもなく、
ただ、こどもの育ちを
まんなかに置いた選択。
今年も、
そんな判断を積み重ねていける一年でありたい。
そして、
そんな保育士たちと一緒にいられることを、
ぼくは、心から誇りに思っています。
これは、
今年の始まりの話であり、
これからも続いていく途中の話です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
市村 弘貴
ふじおか幼稚園 園長
(教育と園づくりの設計責任者)
🌱 立ち上がるチカラを育む ふじおか幼稚園
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